にい's Blog

おばさん元SEの徒然日記

お鍋に関する思い出

「すさまじきもの・・・」は枕草子の書き出し。

古語での意味は
①おもしろくない。興ざめだ。しらけている。
②寒々としている。殺風景だ。情趣がない。
③冷たい。寒い。
④ものすごい。激しい。ひどい。
(学研全訳古語辞典より)

現代語では「凄まじい」という字をあてるけど(意味違うけど)、
古典の授業で読んだ文章ではいつもひらがなだったような気がする。
当てるとしたら「荒まじ」かな。(勝手な想像)


昔、母が父に無断で大きな買い物をしたことがあって、
それは数十万円するステンレスのお鍋のセットだった。
50年持ちます、っていうのがキャッチフレーズだったと思う。

当時小学生だった私は、生意気にも偉そうに「どんなにいいものだって
50年ももつはずないよ、そんなの信じちゃって」とか何とか、言っていた
らしい。ちょっとだけ身に覚えがある。

祖母もいて6人家族だった時も、父の仕事で職人さん
たちが毎晩ウチでご飯を食べていた時も、
私が一人暮らしを始め、弟と妹が結婚し、そのあとも、母は
毎日そのお鍋を使っていたのだった。

母が自分の食事しか作らなくなってからも同じで
たまたま私が実家に帰った時に
「久美子、このお鍋、50年くらい持ったわよ」と誇らしげに言われて
ああ、母はくそ生意気な小学生の言葉に結構傷ついてたんだ、
と思い知らされりしたのだ。
(あれ、正確には50年に満たないな、実際は40年超くらいか。
ま、いいか)

そして

母の葬儀のあと実家に行き、主のいなくなったキッチンのお鍋たちを
見た時、
(それは義妹がきれいに掃除してくれて、きちんと片付いていたん
だけれど)
「すさまじきもの」ってこういうことなのか
と思ったのだ。きれいに片付いているんだけど、「荒まじ」って。

・・・・・

そう!
今回は本当はこんなしんみりしたことを書きたかったわけでは
なかったのに。
さんざん悩んで、新しいプライパン買いました、と、能天気な
テーマのはずだったのに。
新しい調理器具を買うにあたって、思い出してしまった。
まあ、それはまた今度。(笑)